ホームページの全面改訂を機に天文ネタのブログ開始を請われ、二つ返事でお引き受けしました。信仰歴よりも長い天文歴なので、話題は尽きません。「創造のみわざをあかしする宇宙」とか、「天は神の栄光を語り告げ」と肩に力を入れるよりも、宇宙を楽しみ、喜び、感動することで、それが神に生かされていることへの喜びにつながるなら幸いです。どうぞ末永くお付き合いください。

 手始めは宵の明星、金星です。ちょうど今頃、日没後の真西の空低く輝いていますから、ご覧になってください。日没時の地上高度は20度、腕を伸ばして握り拳二つ分です。11月頃まで同じ高度を保ちながら南方向へ動きますから、定点観測すると動きが分かりますよ。

太陽系の第二惑星である金星は、分厚い二酸化炭素の雲に覆われ、温室効果で地表温度は460度の灼熱です。温室効果ガスによる地球温暖化は世界的な喫緊の課題ですが、金星は桁違いですね。実は、太古の地球は大気の成分が現在の金星とあまり違わなかったそうで、地球は二酸化炭素が海に溶け込んだため、現在の大気成分になったとのこと。宵空にこぼれ落ちるような煌めきで輝く金星を観察することで、神の備えた私たち地球、その環境の大切さとありがたさに思いを馳せる機会になればと思います。

ちなみに、金星は地球より内側を公転しているため、望遠鏡で観察すれば満ち欠けがわかります。そして金星の自転はなぜか公転方向と逆。しかも1回の自転に地球時間で243日かかります。こんなところに太陽系形成期の秘密が隠されているようですが、まだ研究途上とのこと。

地球の内側を公転している金星は、ごくまれに太陽面を通過する現象を起こします。あれは2012年6月6日、JEA(日本福音同盟)総会の最終日に、静岡県掛川市の会場駐車場で、私が持参した小さな望遠鏡により、参加者の皆さんと観察したことを思い出します。閉会礼拝が終わって駐車場に駆けつけ、奇跡的に晴れた空に輝く太陽を望遠鏡の投影板に映し出したら、真っ黒な金星の丸い影が、まるでホクロのように太陽像にくっきりと見えるではありませんか。総会の決議内容は忘れても、一生に一度のこの体験だけは忘れられません。